自己紹介 その4 藝大受験

当時の東京藝術大学の受験体制は1次、2次が実技、3次がソルフェージュ&ピアノと学科というものでした。1次試験はローズの32のエチュードからテクニカルな偶数番号とゆっくりの奇数番号から当日指定で一つずつ、それとスケール(音階)でした。あとピアノで弾いた音をクラリネットで当てる音当てクイズみたいなのもあったなあ。2次はウェーバーのコンチェルティーノ全曲。

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クラリネットの受験生は20人ばかり、私は14番でした。そんなに少ないの???とよく驚かれますが、厳しい試験を受験する時点で絞られるので、毎年この程度でした。寒い冬の日、スチームがシュンシュン音を立てる控え室に5人ぐらいで順番を待ちますが、私の前後は浪人生だったので、その間にいろいろなことを教えてもらいました。「リードは吹きやすい方がいいよ」「音を当てるときはそーっと息を入れて音を探りながら指をおくといい」とか。(笑)私のグループはライバル的なギスギスしたところは1つもなく、浪人の先輩方が優しくてどんなに安心したことか。私も試験を終えて部屋に戻った時に、音当ては一番低い音が出た、とお礼に教えてあげました。(笑)

 

そのようにして、最終日のピアノの試験では自己紹介1で書いたピアノの師匠との遭遇があったりして、何とか3日間を終えました。全ての試験が終わった後、浪人組の受験生と上野の喫茶店でお茶を飲んで、それぞれ「ああダメだった〜!」「落ちる〜」と大いに嘆いて帰路につきました。

 

結果は、その時世話になった浪人生も含めて5人が合格となり、この人たちは生涯の友人となりました。

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